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第19回 成蹊ラグビーOB訪問企画 小田切賢太郎さん
2022/03/02(水) 11:30
日頃より成蹊大学ラグビーフットボール部にご支援、ご声援いただきまして誠にありがとうございます。
マネージャー2年山田彬乃、1年太田千菜美です。
メールマガジン第19回目の配信です。
本日は皆様お待ちかね「成蹊ラグビーOB訪問企画」第2回目として、86年卒・現OB会現役強化副委員長の小田切賢太郎さんのインタビューをお届けいたします!
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「成蹊ラグビーOB訪問企画 ~ビジネスシーンで活躍されるOB 第2回~ 小田切賢太郎先輩(86年大卒)」
【紹介文】
小田切賢太郎さん 58歳 バーバリー・ジャパン株式会社 代表取締役 社長
大学86年卒業、ポジションはロック、現OB会現役強化副委員長
86年伊勢丹に入社。89年よりバーニーズニューヨークへ出向、バイヤーとして活躍。
2006年よりGAPJapanバナナリパブリックの責任者、09年よりLVMHグループCelineジャパン社長、17年より現在Burberry・ジャパン株式会社社長を歴任。
日本における海外ブランドのビジネスの拡大にリーダーシップを発揮して大手数社で重要なポジションをご担当、日本における海外ファッションのリーディングパーソンとして活躍される小田切先輩に本日はメルマガOB訪問担当の島野(94年卒)太田(99年卒)の二人でお話をお伺いさせて頂きます。
(太田)
小田切先輩、本日はお忙しい中お時間を頂き有難うございます。メルマガメイン企画でもあります「成蹊ラグビー OB訪問企画 ビジネスシーンで活躍するOB」第2回の取材にご快諾、ご協力を頂き有難うございます。
繰り返しになりますが、この企画は、成蹊ラグビー出身のOBが社会人になられどの様にご活躍されているか?
その内容を将来の自身やご子息の姿と重ね合わせ、「是非知りたい!」と現役や父兄の皆様からの非常に熱いご希望の元に始められた企画です。成蹊ラグビーを通じて培われたファイティングスピリッツをどの様に活かし、先輩がビジネスシーンでご成功なされたのか?
本日はその様な観点から色々とお話をお伺いさせて頂きたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
(小田切さん)
成蹊大学経済学部卒業後、伊勢丹に就職し、入社3年目からBarneysNewyorkへ出向し、バイヤーとして海外のブランドを買付する仕事を10年続けました。この期間に培った経験とネットワークが今でも重要な財産になっています。
海外では終身雇用というシステムはありません。もちろん長い年月同じ会社で働く方も少なくありませんが、会社というよりも業界の中で仕事をする感覚です。多くの方は日本の社長の任期と同じくらいの期間で転職します。日本の会社で良く見受けられる人事異動で、営業部から専門性の違う経理部への異動の様な職域を変える人事異動はありません。
同じ専門性で、プロフェッショナルとして、違う会社、違うブランド、違う商品、違う環境の中で仕事をしてきました。BarneysもCelineもBurberryも基本的には仕事の中身は似ていて、その内容は、日本のマーケットシェアを獲得しお客様に喜んでいただくための仕事を実践してきました。
(太田)
有難うございます。移り変わりの速いファッションシーンにおいて、小田切先輩が各々のブランドの日本シーンにおいて活躍されてこられた様子がよくわかります。我々にとっても身近な有名ブランドばかりですので、非常に身近なお話に感じます。
(島野)
この様な移り変わりの速い業界、そして異なる会社において小田切先輩の様に継続して結果を出されるという事は、決して簡単な事ではないと思います。先輩が結果を残された際に一番重要なポイントはどんな点だったのでしょうか?またそれを成し遂げる為にどの様な事を大切にされて来たのですか?
(小田切先輩)
ラグジュアリーブランドなどという言葉を使うと勘違いされやすいのですが、仕事の中身は地道な小売業です。卸売りと違って、小売り(Retail)は、毎日毎日の売上とにらめっこをしながら36年同じような生活をしています。敢えて言えば、八百屋さんや魚屋さんと同じです、自分の目で活きのいい商品を選び、お客様の期待値を超えるようなサービスをする。今、何が売れるのか?マーケットの微妙な風を現場で感じること。従業員やお客様、ビジネスパートナーからの意見を聞くこと。地味な仕事で近道はありません。
(太田)
なるほど、これは非常に奥が深いお話ですね⁈八百屋さんや魚屋さんと同じという点で我々後輩としてだけでなく一般消費者からの目線でも非常に興味を引くお話です。その辺りもう少し詳しくお聞かせ下さい。
(小田切先輩)
ラグビーと私たちのビジネスの共通項はたくさんあります。
まず、ラグビーは近代スポーツの中で最も選手の数が多いチームワーク競技であること。それぞれのポジションに専門性が求められること。会社組織と似ていますね。
何よりもラグビーとファッションビジネスは同じような戦略的思考が求められています。それは、ファッション(流行)に敏感であることで、最も新しいユニークで斬新な戦略、戦術を身に着けたチームが勝利する可能性が高いことです。例えば5年前のスクラムの技術、5年前のラインアウトの技術、5年前のキックの使い方、ひと昔前の技術は全く使い物にならないことは説明の必要がありません。
(太田)
今も昔もどちらかと言うとラグビー部=ファッション結びつける事は中々難しいのが現実かと思いますが、そもそも小田切先輩は学生時代から最先端のファッションに興味を持たれ、それでこの業界での就職を目指されたのでしょうか?
(小田切先輩)
私は経済学部卒で学長の朝倉先生のゼミでした。都銀や広告代理店を第一希望に就職活動をしていたのですが、偶然ラグビー部の先輩がいる伊勢丹も受験しました。すると朝倉先生は「絶対に君は、伊勢丹が良い!」と強く薦めるのです。そのアドバイスが決め手となりました。
また、姉が二人いたことにも影響されているかと思います。就職してから知ったのですが
浜田山でお料理学校の先生をしていました同居していた祖母の父(小田切先輩の曾祖父)が、舶来品を取り扱う銀座の老舗(明治12年創業)の創業者であったことを知りました。もしかしたら、商売人のDNAが少し残っていたのかもしれません。
自分の進路は、自分でしか判断できませんが、先生、先輩の意見をたくさん聞くことは大切ですね。今ではコーチング、ティーチングという言葉も珍しくありませんが、
学生時代から客観的に自分を俯瞰する方法、人生の師を得ることはとても大切です。
(太田)
朝倉先生のアドバイスがあり、今の小田切先輩がいらっしゃるのですね!
DNAのお話も興味深いお話です。
学生時代から様々な視点や様々な方の意見を聞いて決める。将に学生に伝えてゆきたい将来像の持ち方ですね、有難うございます。
(島野)
先輩は外資系の会社を歴任されておられ、その日本法人のTopをご経験されております。
我々も知りたいのは、外資系企業の実態と日本企業との違い等、色々と生じる難局を先輩はどの様に乗り越えてこられたのか?勿論ラグビーにおけるファイティングスピリッツと関連付けてお答え頂けるとこの企画にはバッチリなんですが…(笑)
(小田切先輩)
“外資系“や”外人“という言葉はSDG’Sの潮流の中で、どんどん使われない言葉になっていきます。簡単にいうとGlobal Standard(世界共通の基準)でない組織は生き残れない時代なのです。国籍や人種、性別、宗教などで閉鎖的な壁を作らない意識改革が必要です。
逆の考え方をすれば、日本人の弱点でもあり伸びしろでもあるポイントは、Diversity&Inclusion(個々の「違い」を受け入れ、認め合い、生かしていくこと)です。
年功序列の終身雇用が、“社風” などという言葉で、自然と管理しやすい金太郎飴集団を作り出すわけです。同じような学校、宗教、家庭環境から人を集めれば自然とその環境は作りやすくなります。自然と居心地の良い環境を作ります。阿吽の呼吸で動くチームワークは強いチームの絶対条件ですが、逆に全体主義的で個性や感性が犠牲になる可能性がある。
厳しい時期に、斬新なアイデアを生み出しにくい典型的な組織になります。
外資の考え方は、全く逆で、簡単に言うと、RugbyのAll Japanと同じです。まず国籍、性別、宗教、年齢を尊重するというルールの上に成り立っていますが、勝つためのベストメンバーを集めるわけです。
Rugbyで勝つことと、ビジネスで成功を収めることの共通点は多くあります。
勝利から逆算する、例えば我々の時代はスクラムが強くて、良いプレースキッカーがいれば
勝率は上がる時代でした。なぜならばTRYは4点PGは3点の時代です。
私は、勝つために、ほかのチームが真似できないようなプレースタイルを研究するのが好きでした。選手として自分は並みのプレーヤーですが、作戦を考える戦略家だったのかもしれません。ライバルチームの真似をしていても絶対に勝てません。強いチームの真似をしても無意味です。成蹊独自のラグビースタイル、自分独自のラグビー戦略、最も新しい斬新なラグビーを考えることが、勝つための鍵となります。
ビジネスにおいても、強いスクラム、果敢なタックル、正確なキックをいつも考えています。
(島野)
なるほど、「日本人の弱点でもあり伸びしろでもあるポイントは、Diversity&Inclusionです」
という点、将に実体験に基づくお話かと思います。
(太田)
私も色々なビジネスシーンでラグビー繋がりやラグビーをやっていて本当に良かったなと思える事が最近でも多くあります。それは日本だけでなく海外でも同じかと思います。
小田切先輩がご経験された、ビジネスシーンでラグビーをやっていて本当に良かったと思える様なエピソードがあれば教えて頂けないでしょうか?
(小田切先輩)
欧州のビジネスマンと働くと、たとえフランス人イタリア人でも、上流階級の学生はラグビーに触れる機会が多いようで、育ちの良さ(良い教育を受けた)を表す指標にもなっていたと感じます。日本人の柔道や剣道は、礼節を重んじる格闘技でありかつ対戦相手を尊敬するその武道の精神が、学生にとって重要な教育の糧となります。格闘技とも言われるラグビーのノーサイドの精神は、グローバルでも共通の大切な学生教育のように思えます。
(島野)
ここにも「ノーサイド」の精神があり、世界共通のマインドという事ですね。
【締め】
(太田)
小田切先輩、本日はお忙しい中、本企画のインタビューにお時間を頂戴し有難うございました。この記事をみて自分も外資系企業やファッション業界で働きたいと思う学生が多く出てくるのではないかと思います。これからも益々ご活躍頂き“成蹊ラグビースピリットここにあり”という所をファッション業界で広めて頂く様お願い致します。
(小田切先輩)
最後になりますが、宣伝も兼ねまして小ネタを。
英国王室メンバーの結婚式を見ると男性は軍服が最高の正装です。日本の学生服は軍服がデザインリソースになっているのは有名です。成蹊の学生服も同じです。その素材の織り方はサージ(ギャバジンの変形織)と呼ばれます。ギャバジンはBURBERRYが150年前に開発した特許素材なのです。
(太田)
最後になりますが、この企画は次のビジネスシーンでご活躍をされる先輩を紹介(ご指名)頂く事となりました。小田切先輩から是非ご推薦を頂きたいと思います。宜しくお願い致します。
(小田切先輩)
30年近く前になりますが、私がキャプテンとして参加した成蹊ラグビー部創部70周年記念イベント「オール成蹊シンガポール遠征」で、一緒に戦った松田多聞君を推薦したいと思います。現在、松田君は、2023年の成蹊ラグビー部創部100周年事業の委員長として大活躍してくれています。
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インタビューにお答えいただきました小田切様、誠にありがとうございました。
成蹊ラグビーOBの皆様のご活躍は、現役の私たちにとっても大変刺激になります。
また、ラグビー部での経験が社会で活きるというお言葉にも勇気づけられました。
マネージャー2年山田彬乃、1年太田千菜美です。
メールマガジン第19回目の配信です。
本日は皆様お待ちかね「成蹊ラグビーOB訪問企画」第2回目として、86年卒・現OB会現役強化副委員長の小田切賢太郎さんのインタビューをお届けいたします!
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「成蹊ラグビーOB訪問企画 ~ビジネスシーンで活躍されるOB 第2回~ 小田切賢太郎先輩(86年大卒)」
【紹介文】
小田切賢太郎さん 58歳 バーバリー・ジャパン株式会社 代表取締役 社長
大学86年卒業、ポジションはロック、現OB会現役強化副委員長
86年伊勢丹に入社。89年よりバーニーズニューヨークへ出向、バイヤーとして活躍。
2006年よりGAPJapanバナナリパブリックの責任者、09年よりLVMHグループCelineジャパン社長、17年より現在Burberry・ジャパン株式会社社長を歴任。
日本における海外ブランドのビジネスの拡大にリーダーシップを発揮して大手数社で重要なポジションをご担当、日本における海外ファッションのリーディングパーソンとして活躍される小田切先輩に本日はメルマガOB訪問担当の島野(94年卒)太田(99年卒)の二人でお話をお伺いさせて頂きます。
(太田)
小田切先輩、本日はお忙しい中お時間を頂き有難うございます。メルマガメイン企画でもあります「成蹊ラグビー OB訪問企画 ビジネスシーンで活躍するOB」第2回の取材にご快諾、ご協力を頂き有難うございます。
繰り返しになりますが、この企画は、成蹊ラグビー出身のOBが社会人になられどの様にご活躍されているか?
その内容を将来の自身やご子息の姿と重ね合わせ、「是非知りたい!」と現役や父兄の皆様からの非常に熱いご希望の元に始められた企画です。成蹊ラグビーを通じて培われたファイティングスピリッツをどの様に活かし、先輩がビジネスシーンでご成功なされたのか?
本日はその様な観点から色々とお話をお伺いさせて頂きたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
(小田切さん)
成蹊大学経済学部卒業後、伊勢丹に就職し、入社3年目からBarneysNewyorkへ出向し、バイヤーとして海外のブランドを買付する仕事を10年続けました。この期間に培った経験とネットワークが今でも重要な財産になっています。
海外では終身雇用というシステムはありません。もちろん長い年月同じ会社で働く方も少なくありませんが、会社というよりも業界の中で仕事をする感覚です。多くの方は日本の社長の任期と同じくらいの期間で転職します。日本の会社で良く見受けられる人事異動で、営業部から専門性の違う経理部への異動の様な職域を変える人事異動はありません。
同じ専門性で、プロフェッショナルとして、違う会社、違うブランド、違う商品、違う環境の中で仕事をしてきました。BarneysもCelineもBurberryも基本的には仕事の中身は似ていて、その内容は、日本のマーケットシェアを獲得しお客様に喜んでいただくための仕事を実践してきました。
(太田)
有難うございます。移り変わりの速いファッションシーンにおいて、小田切先輩が各々のブランドの日本シーンにおいて活躍されてこられた様子がよくわかります。我々にとっても身近な有名ブランドばかりですので、非常に身近なお話に感じます。
(島野)
この様な移り変わりの速い業界、そして異なる会社において小田切先輩の様に継続して結果を出されるという事は、決して簡単な事ではないと思います。先輩が結果を残された際に一番重要なポイントはどんな点だったのでしょうか?またそれを成し遂げる為にどの様な事を大切にされて来たのですか?
(小田切先輩)
ラグジュアリーブランドなどという言葉を使うと勘違いされやすいのですが、仕事の中身は地道な小売業です。卸売りと違って、小売り(Retail)は、毎日毎日の売上とにらめっこをしながら36年同じような生活をしています。敢えて言えば、八百屋さんや魚屋さんと同じです、自分の目で活きのいい商品を選び、お客様の期待値を超えるようなサービスをする。今、何が売れるのか?マーケットの微妙な風を現場で感じること。従業員やお客様、ビジネスパートナーからの意見を聞くこと。地味な仕事で近道はありません。
(太田)
なるほど、これは非常に奥が深いお話ですね⁈八百屋さんや魚屋さんと同じという点で我々後輩としてだけでなく一般消費者からの目線でも非常に興味を引くお話です。その辺りもう少し詳しくお聞かせ下さい。
(小田切先輩)
ラグビーと私たちのビジネスの共通項はたくさんあります。
まず、ラグビーは近代スポーツの中で最も選手の数が多いチームワーク競技であること。それぞれのポジションに専門性が求められること。会社組織と似ていますね。
何よりもラグビーとファッションビジネスは同じような戦略的思考が求められています。それは、ファッション(流行)に敏感であることで、最も新しいユニークで斬新な戦略、戦術を身に着けたチームが勝利する可能性が高いことです。例えば5年前のスクラムの技術、5年前のラインアウトの技術、5年前のキックの使い方、ひと昔前の技術は全く使い物にならないことは説明の必要がありません。
(太田)
今も昔もどちらかと言うとラグビー部=ファッション結びつける事は中々難しいのが現実かと思いますが、そもそも小田切先輩は学生時代から最先端のファッションに興味を持たれ、それでこの業界での就職を目指されたのでしょうか?
(小田切先輩)
私は経済学部卒で学長の朝倉先生のゼミでした。都銀や広告代理店を第一希望に就職活動をしていたのですが、偶然ラグビー部の先輩がいる伊勢丹も受験しました。すると朝倉先生は「絶対に君は、伊勢丹が良い!」と強く薦めるのです。そのアドバイスが決め手となりました。
また、姉が二人いたことにも影響されているかと思います。就職してから知ったのですが
浜田山でお料理学校の先生をしていました同居していた祖母の父(小田切先輩の曾祖父)が、舶来品を取り扱う銀座の老舗(明治12年創業)の創業者であったことを知りました。もしかしたら、商売人のDNAが少し残っていたのかもしれません。
自分の進路は、自分でしか判断できませんが、先生、先輩の意見をたくさん聞くことは大切ですね。今ではコーチング、ティーチングという言葉も珍しくありませんが、
学生時代から客観的に自分を俯瞰する方法、人生の師を得ることはとても大切です。
(太田)
朝倉先生のアドバイスがあり、今の小田切先輩がいらっしゃるのですね!
DNAのお話も興味深いお話です。
学生時代から様々な視点や様々な方の意見を聞いて決める。将に学生に伝えてゆきたい将来像の持ち方ですね、有難うございます。
(島野)
先輩は外資系の会社を歴任されておられ、その日本法人のTopをご経験されております。
我々も知りたいのは、外資系企業の実態と日本企業との違い等、色々と生じる難局を先輩はどの様に乗り越えてこられたのか?勿論ラグビーにおけるファイティングスピリッツと関連付けてお答え頂けるとこの企画にはバッチリなんですが…(笑)
(小田切先輩)
“外資系“や”外人“という言葉はSDG’Sの潮流の中で、どんどん使われない言葉になっていきます。簡単にいうとGlobal Standard(世界共通の基準)でない組織は生き残れない時代なのです。国籍や人種、性別、宗教などで閉鎖的な壁を作らない意識改革が必要です。
逆の考え方をすれば、日本人の弱点でもあり伸びしろでもあるポイントは、Diversity&Inclusion(個々の「違い」を受け入れ、認め合い、生かしていくこと)です。
年功序列の終身雇用が、“社風” などという言葉で、自然と管理しやすい金太郎飴集団を作り出すわけです。同じような学校、宗教、家庭環境から人を集めれば自然とその環境は作りやすくなります。自然と居心地の良い環境を作ります。阿吽の呼吸で動くチームワークは強いチームの絶対条件ですが、逆に全体主義的で個性や感性が犠牲になる可能性がある。
厳しい時期に、斬新なアイデアを生み出しにくい典型的な組織になります。
外資の考え方は、全く逆で、簡単に言うと、RugbyのAll Japanと同じです。まず国籍、性別、宗教、年齢を尊重するというルールの上に成り立っていますが、勝つためのベストメンバーを集めるわけです。
Rugbyで勝つことと、ビジネスで成功を収めることの共通点は多くあります。
勝利から逆算する、例えば我々の時代はスクラムが強くて、良いプレースキッカーがいれば
勝率は上がる時代でした。なぜならばTRYは4点PGは3点の時代です。
私は、勝つために、ほかのチームが真似できないようなプレースタイルを研究するのが好きでした。選手として自分は並みのプレーヤーですが、作戦を考える戦略家だったのかもしれません。ライバルチームの真似をしていても絶対に勝てません。強いチームの真似をしても無意味です。成蹊独自のラグビースタイル、自分独自のラグビー戦略、最も新しい斬新なラグビーを考えることが、勝つための鍵となります。
ビジネスにおいても、強いスクラム、果敢なタックル、正確なキックをいつも考えています。
(島野)
なるほど、「日本人の弱点でもあり伸びしろでもあるポイントは、Diversity&Inclusionです」
という点、将に実体験に基づくお話かと思います。
(太田)
私も色々なビジネスシーンでラグビー繋がりやラグビーをやっていて本当に良かったなと思える事が最近でも多くあります。それは日本だけでなく海外でも同じかと思います。
小田切先輩がご経験された、ビジネスシーンでラグビーをやっていて本当に良かったと思える様なエピソードがあれば教えて頂けないでしょうか?
(小田切先輩)
欧州のビジネスマンと働くと、たとえフランス人イタリア人でも、上流階級の学生はラグビーに触れる機会が多いようで、育ちの良さ(良い教育を受けた)を表す指標にもなっていたと感じます。日本人の柔道や剣道は、礼節を重んじる格闘技でありかつ対戦相手を尊敬するその武道の精神が、学生にとって重要な教育の糧となります。格闘技とも言われるラグビーのノーサイドの精神は、グローバルでも共通の大切な学生教育のように思えます。
(島野)
ここにも「ノーサイド」の精神があり、世界共通のマインドという事ですね。
【締め】
(太田)
小田切先輩、本日はお忙しい中、本企画のインタビューにお時間を頂戴し有難うございました。この記事をみて自分も外資系企業やファッション業界で働きたいと思う学生が多く出てくるのではないかと思います。これからも益々ご活躍頂き“成蹊ラグビースピリットここにあり”という所をファッション業界で広めて頂く様お願い致します。
(小田切先輩)
最後になりますが、宣伝も兼ねまして小ネタを。
英国王室メンバーの結婚式を見ると男性は軍服が最高の正装です。日本の学生服は軍服がデザインリソースになっているのは有名です。成蹊の学生服も同じです。その素材の織り方はサージ(ギャバジンの変形織)と呼ばれます。ギャバジンはBURBERRYが150年前に開発した特許素材なのです。
(太田)
最後になりますが、この企画は次のビジネスシーンでご活躍をされる先輩を紹介(ご指名)頂く事となりました。小田切先輩から是非ご推薦を頂きたいと思います。宜しくお願い致します。
(小田切先輩)
30年近く前になりますが、私がキャプテンとして参加した成蹊ラグビー部創部70周年記念イベント「オール成蹊シンガポール遠征」で、一緒に戦った松田多聞君を推薦したいと思います。現在、松田君は、2023年の成蹊ラグビー部創部100周年事業の委員長として大活躍してくれています。
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インタビューにお答えいただきました小田切様、誠にありがとうございました。
成蹊ラグビーOBの皆様のご活躍は、現役の私たちにとっても大変刺激になります。
また、ラグビー部での経験が社会で活きるというお言葉にも勇気づけられました。