お知らせ

立教に勝ち、今期対抗戦初勝利!

2009/11/30

11月29日(日)上柚木公園陸上競技場で行われました、関東大学ラグビー対抗戦A、成蹊対立教戦は7対3で成蹊が勝ち、今期対抗戦初勝利をあげました。(12:00KO)

OB観戦記

試合前のアップの風景は好対照であった。

 

気合十分な立教は掛け声高らかに、まるでワラビーズのごとく纏まった隊列のウォーミングアップ。コンタクトも激しい。一方、成蹊には笑顔も見られ、最初にタッチフットに興じていた姿などはどこか牧歌的な雰囲気。いい意味でのリラックスムードであった。

 

アップを終えた成蹊の選手が控え室に戻った。メインスタンド下の控え室とグランドを隔てるのは一枚のカーテン。K.O.の時刻が迫る。

心昂ぶり、お互いの声をぶつけるような成蹊の部歌がバックスタンドまで聞こえてきた。歌詞を知る者にすら言葉に聞えない選手の思いが耳に熱い。

 

ゆっくりとグランドに出てきたリラックス集団は、見事に戦士へと変貌していた。

 

 

立教のK.O.で始まった試合は、前半12分に立教がPGで先制する。(0-3)

その後、一進一退の攻防が続くが、前半21分にLOの永井が大きく試合を動かす。中盤の攻防から突出し、一気に50mを独走。追いすがる立教の6番、8番、14番。転がり込むようにインゴールに飛び込んだかに見えたが、惜しくもインゴールノックオン。下井レフリーの短い笛に、スタンドの歓声は溜息に変わった。

 

しかし、永井の「幻のトライ」で勢いづいた成蹊FWは、直後の立教ボールスクラムをホイールでターンオーバー。その後も立教陣内で攻め続け、25分にゴール正面でPKを得る。スタンドからは「狙え」の声が上がるも、タッチでゴール前ラインアウト。頼もし過ぎるほどに強気な姿勢。しかし、流石にディフェンスの固い立教は容易にはゴールラインを割らせてくれない。その後、立教が1本のPGを外して0-3のまま前半を終了した。

ハーフタイムで更なる意思疎通が図られたか、後半に入ると成蹊のアタックはキレ味を増す。前半に比べ、積極的にボールを展開する意志が明らかに見て取れる。ボールは面白いように繋がり、執拗なアタックは立教の反則を誘った。成蹊はPGのチャンスを得るが、1回目のPG失敗に続き、2回目のPGはバーに嫌われ大きく跳ね返った。しかし、勢いそのまま一気呵成に攻め続ける成蹊。

FWの愚直なフォローは、まるで大切な卵でも産み落とすかのように、好球を連続支配し続けた。立教の厳しいプレッシャーの中で、SH池田が的確にボールを捌き、まるでダンスでも踊るかのごとくサイドを狙った。

 

そして勝負を分けたそのプレーは後半15分のことであった。あまたのフェーズを重ねた後、敵陣10m付近のポイントらボールが出た。まるで意志を持つかのようにボールは繋がれていく。SH池田からWTB三浦(貴)、CTB大森、CTB藤本・・・そこに矢のようなスピードで入ってきたのは「元気印」のFL三浦(豪)であった。外につくFB信田、WTB高橋に向けて立教ディフェンスがかぶっているとみるや、三浦(豪)は思い切りよく内を切り、ゴムマリの如くインゴールを陥れた。

逆転だ! 信田のゴールもポスト中央を抜けて2点を追加。(7-3)

 

闘志に火のついた立教も反撃に出る。直後のキックオフこそダイレクトとなるも、FW、BKが一体となり激しく成蹊ゴール前まで攻め込む。一転してピンチとなった成蹊は、立教ボールのモールを、ゴールラインまであと10mという位置で耐えていた。そして、立教のモールがじわりと動いたその時、黒いジャージが密集を突き破っ太ももの白いテーピング、PR福嶋だ。

福嶋は持ち出したボールを立教陣内へ真っ直ぐに蹴り込む。立教陣内を転々とするボールに、必死で戻る立教のWTBを三浦(貴)、三浦(豪)、藤本が襲う。成蹊は逆転直後のピンチを一瞬で脱することに成功した。

その後も目まぐるしく変わると思われた攻防も、後半から出場のCTB三雲がゲームのテンポを上げて流れを離さない。相手の中盤を引きつけたランは、しばし外翼を活かしWTBの好走を引きだした。FWはセットでの健闘に加えて、献身的なフォローで「流れ」を維持。BKは相手のアタックを連なるタックルで止め続ける。後ろに球が来れば、WTB高橋は落ち着いたフィールディングを見せボールタッチに飢えていたFB信田は圧巻のカウンターを見せた。

後半15分の成蹊の逆転以降、スコアこそ動かなかったものの、後半の流れが成蹊にあるのは明らかでだった。

 

7対3で成蹊リード。時計は40分を回り、後半もロスタイムに入っていた。

立教ゴール前の立教ボールの密集から、ボールがパスアウトされた。福嶋、新井、三浦(豪)が猛然と襲い掛かる。長い笛。立教たまらずノットリリースの反則。

下井レフリーの示したポイントは、ショットで3点を獲得するには絶好の位置だ。

しかし、主将・池田は冷静であった。迷わずタッチを指示するとスタンドがどよめいた。このタッチからゲームに入った永野がクリーンキャッチ。真綿で絞めるようにラインアウトモールを押し込む。硬くバインドされた8人の黒い塊がゆっくりと進む。

立教の必死の抵抗にラック、そして成蹊ボールのスクラムに変わった。

ラストワンプレー。最後まで安定していたスクラムから、余裕を持ってパスアウトされたボールは池田から藤本、太田と渡った。真横に蹴りだされたボールがスタンドに刺さった。

 

ノーサイド!

瞬間、歓喜の輪が広がった。拳を突き上げる者。とにかく叫んでいる者。そして感慨のあまり芝に突っ伏している者。快勝!点差以上に安定したナイスゲームであった。昨年と同じグランド、同じK.O.時刻。日付だけが一日違った、激しい闘いにおいて、成蹊は一度もゴールラインを割らせることなく勝利した。

この試合のテーマであった「圧倒」を見事に具現したFW。

駆け引きに長けたスクラムでは、ホイールによるターンオーバー2回を数え、ブレイクダウンでも立教の激しい3列に激しく対抗した。

そして、相手をノートライに抑えたBK、FW3列の「鉄壁のディフェンス」は、直前の大倉先輩からの檄文にあった「ラグビー原点のタックル」そのものであった。

強敵立教をノートライに抑えた充実は、試合後の選手達の表情は勿論、八木監督をはじめ、コーチングスタッフの言葉からも伺えた。異口同音に出たのは「気持ち」そして「タックル」。監督の「ハンカチ湿らせるナイスゲーム・・・」のコメントは勝利へのリップサービスではあるまい。

解散後、主将の池田にノーサイド間際のPKのタッチの選択について聞いてみた。

「あそこでPGで7点差にするよりも、相手に最後の攻撃をさせたくなかった。あの場面、取られるときは真ん中まで走りこまれることを考えた。同点、同トライ数・・・得失点差では立教が圧倒的に上だから、とにかく勢いとボールを保持し続けたかった」

 

愚問を承知で前半PKのタッチ選択も聞いた。

「前半は絶対にFW。行けるところまで行こうと決めていたので」

 

最後に今日の試合で一番良かったところを聞いたら答えに困った

「うーん、勝ったから全部ですね」

 

緊迫した状況での瞬時の判断、選択。そこに「考え」「意志」あることこそ素晴らしき。

頼れるスキッパーの「考え」「意志」は確固たるものとして存在した。

 

<監督 八木忠則>
本日もたくさんの応援・ご声援をいただきありがとうございました。
グラウンドに立ったプレーヤーは皆様の大声援の後押しを受け果敢に戦ってくれたことをうれしく思うと共に、毎試合応援いただくオール成蹊の皆様に心より感謝申し上げます。

ラグビーでは体力・スキルでの優劣はあるかもしれませんが、「心」は平等に持てます。前日のミーティングでメンバー一人ひとりの「強い気持ち・気迫」を感じ、「彼らはやる!!」と確信しました。
立教大学の強いディフェンスに中々ゴールを割ることはできませんでしたが、
強い勝利への思いを持ち2007年Aグループ昇格以来、21戦目で初めてノートライに抑え唯一のトライを守り切れたこととは大きな自信になったことと思います。
 また、グラウンドに立てなかった仲間達、献身的なサポートをしてくれた女子マネージャー。彼らの力が無ければ成し遂げられなかった1勝だったと思います。チーム一丸となって戦えたことは今後のチームに大きな財産となりました。
12日の「入替戦」にも一丸となって挑みますので応援よろしくお願い申し上げます。

<主将 池田元>
今シーズン掲げた目標の「一勝+チャレンジ」の「一勝」。それが達成出来て本当に嬉しいです。
試合を通してミスも多く、前半はなかなか得点を挙げられなかったですが、後半からテンポを変え春から目標としたボールを動かすラグビーでトライを取ることができ、この1年間やってきた成果が出せたと思います。またDFでも、相手に1トライも奪われることなく試合を通じてタックルが出来たと思っております。
ただ、この結果に浮かれることなく気持ちを切り替え、再来週には入れ替え戦に挑みたいと思います。今後とも応援の程よろしくお願いします。

<副将 福島傑>
立教戦は「チャレンジャー」であるという意識を80分間持ち続け、15人が最後まで集中できた試合だと思います。ミスもありましたが、何よりも結果を残すことができ一安心しています。
FWは前半多くのトライチャンスがあったのにも関わらず、相手のDFをこじ開けてトライを取ることができなかったことが今後の課題です。次の試合ではFWが一年間やってきたことを全て出し切れるように最後の2週間気をいっそう引き締めてシーズンを終えたいと思います。

<副将 三雲淳>
立教戦、たくさんの応援に来て頂きありがとうございました。

筑波戦で肩を怪我して今回は控えスタートで試合に挑みました。今シーズン、ベンチからチームを見るのは初めてでした。ベンチから気持ちの入ったプレー1つ1つを見ていて本当にチームは強くなったと思いました。
終始緊迫した試合での勝利は、チームにとっても個人としても大きく成長できたと思っています。
残りの1試合、慢心、油断することなく戦い、最高の形でシーズンを終えられるよう頑張ります。

 

2009年度の4年生よ。

 

残り少ない一日々々を過ごすのではなく、精一杯やりきろう。

そして、入替戦前日の練習後に空を仰いでみよう。

 

明治学院大学を「圧倒」して勝つ!

熱く、冷静に、全部員で「オレたちの勝利」をもうひとつ!